「まだ大丈夫」と思っていた体が、75歳を過ぎた頃から急に思うように動かなくなる——。
そんな声を、施術の現場でよく耳にします。実はこれは特別なことではなく、加齢に伴ういくつもの変化が同時に重なることで起こる、ごく自然な現象です。
大切なのは、原因を知り、早いうちから対策を始めることです。この記事では、75歳以降に要介護が増える7つの理由と、比較的エビデンスがしっかりしている8つの予防法を整理しました。
75歳を過ぎると要介護が増える7つの理由
1. 筋肉量・筋力が急激に低下する(サルコペニア)
60代までは緩やかだった筋力の低下が、75歳前後から加速する人が増えてきます。その結果、次のような変化が現れます。
- 転びやすくなる
- 歩く速度が遅くなる
- 階段がつらくなる
- 疲れやすくなる
日常の何気ない動作の中に、こうしたサインが少しずつ表れてきます。
2. バランス能力が低下する
片足立ちが難しくなったり、とっさに踏ん張れなくなったり、ちょっとした段差につまずいたり——。こうしたバランス能力の低下は、転倒という高齢者の要介護の大きな原因に直結します。
私の母も椅子から立ち上がるときに転倒して大腿骨転子部骨折してしまい車椅子生活になりました。
3. 骨粗しょう症が進む
特に女性に多い骨粗しょう症ですが、男性にも増えていきます。骨が弱くなった状態で転倒すると、大腿骨頸部骨折や脊椎圧迫骨折を起こしやすくなり、
骨折 → 歩かない → 筋力低下 → 寝たきり
という悪循環に陥ることがあります。
4. 認知機能の低下
75歳を過ぎると、認知症の有病率が上昇します。認知機能が低下すると、活動量の低下・転倒の増加・食事量の低下・社会参加の減少が連鎖的に起こり、身体機能全体の低下にもつながっていきます。
5. 生活習慣病の蓄積
高血圧・糖尿病・脂質異常症といった生活習慣病は、若い頃からの影響が長年積み重なった結果として表れます。これらが脳卒中・心不全・腎機能低下などのリスクを高めていきます。
6. フレイルになる
フレイルとは、「健康」と「要介護」の間にあるグレーゾーンのような状態です。
- 体重減少
- 筋力低下
- 疲れやすい
- 歩行速度低下
- 活動量減少
といった特徴がありますが、この段階であれば適切な対策によって改善できる可能性があります。ここが分かれ道になるといってよいでしょう。
7. 人とのつながりが減る
退職や配偶者との死別などをきっかけに、外出しない・話さない・運動しない生活になってしまうと、身体機能・認知機能ともに低下しやすくなります。
今日からできる8つの予防法
① 筋力トレーニング(最重要)
数ある予防法の中でも、最も効果が期待できる方法のひとつです。
- スクワット
- 椅子からの立ち座り
- ランジ
- かかと上げ
- バランストレーニング
こうした運動を、週2〜3回程度継続することが勧められています。
② 毎日よく歩く
目安は1日6,000〜8,000歩。ただ歩くだけでなく、少し息が弾む程度の速歩を取り入れると、心肺機能の維持にも役立ちます。
今の時期は外で歩くのは危険なのでエアコンの効いた室内でスクワット、その場脚ふみ、踏み台昇降などをおすすめします。
③ たんぱく質を十分に摂る
筋肉を維持するためには、肉・魚・卵・大豆・乳製品を、毎食意識して摂ることが大切です。
④ 体重を適正に保つ
肥満だけでなく、高齢者では痩せすぎもまた要介護のリスクになります。適正体重の維持がポイントです。ダイエットは40代までに済ませてそれ以降は筋力を維持、増強していくのが望ましい。
60過ぎて筋力を維持、向上させながら体重を落とすのは大変ですから。当人が言うので間違えなし
※適正体重(BMI)
18〜49歳:18.5 〜 24.9
50〜64歳:20.0 〜 24.9
65歳以上:21.5 〜 24.9
身長(m)× 身長(m)× 25.0未満
厚生労働省研究班監修 ヘルスケアラボ「BMI測定」→ https://w-health.jp/bmi/
⑤ 良い睡眠
7時間前後の睡眠が推奨されることが多く、睡眠不足・過眠のどちらも健康リスクと関連していると考えられています。
⑥ 認知症予防につながる活動
読書・勉強・新しい趣味・楽器・人との会話・ボランティアなど、知的・社会的な活動を続けることが、認知機能の維持につながると考えられています。
⑦ 生活習慣病の管理
血圧・血糖・コレステロールを適切に管理することは、脳卒中や心血管疾患の予防に重要です。
⑧ 定期的な運動習慣
有酸素運動・筋トレ・柔軟性・バランス運動を組み合わせて取り入れることが推奨されています。
まとめ
75歳を境に要介護が増える背景には、筋力低下・バランス能力の低下・骨粗しょう症・認知機能の低下・生活習慣病・フレイル・社会的つながりの減少という、複数の要因が重なっています。
裏を返せば、これらはどれも「今日からの積み重ね」で対策できるものばかりです。特に筋力トレーニングと歩行習慣は、多くの研究で効果が示されている取り組みです。
75歳になってから慌てるのではなく、60代・70代前半の今のうちから、少しずつ体を整えていくこと。それが、歩き続ける人生をつくる一番の近道です。